GPSを用いた調査について
GPS(位置検索システム)を利用することにより、困難だった調査を容易にする事が可能となる場合があります。本項では効果的な使い方を解説します。
1、用途
元々は軍事用に開発されていたといわれておりますが、近年では民生向けに盗難防止のため車両へ設置するものや、居場所確認のためにお子様やご高齢者に持たせる商品もございます。その他にカーナビやスマートフォンにおける地図サービスでもお馴染みかと思います。
2、GPSの種類
尾行調査において使用するGPSには大きく分けて下記の2つがございます。以下解説します。
データロガー型
- 概要
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事前にログ(※)取得の間隔を設定し、対象者の動き出し→移動経路→立ち寄り先→滞在時間などを判明させられることが特徴。これにより不審な立ち寄り先や滞在時間がわかるので事前調査に有効
※記録の事。予め何分間隔でログを取得するのか設定し、定めた間隔ごとにGPSから位置情報を得、GPSから得た位置情報(ポイント)をデータロガーに記録させる。一定期間で機器を回収し、ログを元に移動記録や滞在時間を確認していく。ログ取得の間隔が短ければ短いほど電池が消耗する
- メリット
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- 検索不要
- 移動の開始、移動経路、停止時刻などがわかる
- リアルタイム型に比べて小型(タバコの箱の約半分~半分以下)なため、車種によっては自転車やバイクへの取り付けも可能
- 1万円以下で購入でき、月額費用や検索費用が発生しない
- デメリット
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- 現在地の検索が出来ない
- 回収後、データ解析するまで結果がわからない。また取り付け期間とデータ量は比例するため、期間が長ければ解析の手間も増える
- 取り付けた場所によってGPSの受信感度が変わることがあるため、移動経路に沿ってログが取れない場合がある(誤差が生じる)
- 電池の持続期間
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半月~1ヶ月くらい持続するが、データ解析の必要があるので1週間くらいの交換が望ましい
リアルタイム型
- 概要
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対象の現在地がリアルタイムにわかることが特徴。これにより検索地点への急行が可能なため、不審な立ち寄り先や滞在時間がわかるのはもちろんのこと、開始場所を設定しにくい対象者に有効
- メリット
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- 現在地がリアルタイムに判明する
- 機種によっては検索スケジュールが設定できるため、データロガー型のような使い方も可能
- 機種によってはGPSが振動を検知してメールで知らせてくれる。つまりGPSを車両に取り付けた場合、車両が動き出したときに知らせてくれる機能が付いている機種もある
- デメリット
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- 電波の届かない位置にある時は現在地の検索ができない
- 使用にあたっては契約を要し、月額費用や検索費用が発生する(携帯電話の月額基本料と通話料をイメージしてください)
- データロガー型に比べてやや大型(タバコの箱くらい)
- 検索地点が怪しい場所かどうかの判断が付かず、検索結果に振り回される事がある
- 数百メートル単位で検索誤差が生じる事がある
- 電池の持続期間
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おおよそ1ヶ月。ただし検索頻度により増減する
3、使い方
対象者の移動手段は様々ですが、GPS設置がもっとも有効なのは自家用車で移動する場合です。徒歩や電車・タクシーで移動する場合は手荷物の中に仕込む必要があり、発覚の危険が極めて高くなるのでお勧めできません。
弊社がGPS調査を勧める代表的な例を3つ挙げます(全て自家用車で動くことが前提)。
- 事例
自家用車を用いて外回りの営業に出ており直帰もある。不貞は退社後なので出社時から追尾すると費用が嵩んでしまう。
- 対応
勤務中まで追尾してしまう事により無用な警戒を与えかねないので、リアルタイム型GPSを設置し、業務を終える時間帯の検索地点より調査を開始した。
- 事例
退社後に不貞に及んでいる。通勤にはスクーターを使用している。
- 対応
データロガー型GPSを設置し、退社後に数時間滞在している場所を確認。張り込みの結果、女性宅である事が判明した。
- 事例
自宅周辺は閑散としており、張り込みが困難である
- 対応
リアルタイム型GPSを設置し、通行の予測される場所にて待機。GPSに動きがあったときに通知する機能を利用し、対象者車両を捕捉・追尾した。
4、注意点
探偵社に浮気相談をし、GPSによる調査を勧められたときは、どの段階でどのような使い方をするのか必ず確認しましょう。
弊社ではあくまで「調査におけるサポート」としてしか考えておらず、GPSに頼り切るような使い方はしておりません。尾行技術のない探偵社がGPSの検索結果を後追いし、それらを報告書として提出するという話は良く聞きます。しかしそれでは車の駐車場所がわかるだけで本人らの立ち寄り先がわかりませんし素人でもできる事です。弊社はGPSに頼り切る調査はせず、常に「どこに行き誰と何をしているのか」というご報告ができるよう心がけております。
5、証拠能力
- 事例
主人の車にGPSを付けたところ、ホテルと思われる場所に駐車されている事が確認できた。これらは証拠になりますか?
- 回答
ならない可能性が高いと考えます
- 解説
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- 「そこに車があった」という証拠がない
- 本人が訪れたという証拠がない(「車を貸した」という反論が予測される)
- 誰と訪れたのか不明
- 検索誤差が生じている可能性もあり、必ずそこに滞在していたとは言えない
以上の理由から、直接的な証拠にはならない可能性が高いと考えます。
6、スマートフォンのGPS機能
総務省の発表によりますと、2016年現在でスマートフォンの普及率は5割を超えています。実は最も手っ取り早い方法かもしれないのが、配偶者のスマートフォンに搭載されている位置情報を遠隔で見る、あるいは追跡アプリをインストールしてしまうことです。しかしこれらを実行するには大変壁が高く、なおかつ発覚の危険が極めて高くなるのでお勧めできません、というよりやらないほうが良いと思います。
7、最後に
弊社がGPS調査をお受けしているのは、依頼者と対象者が夫婦あるいは親子など取付対象の車両に依頼者の所有権がある場合に限ります。従って「夫の愛人が使う車両にGPSを設置して~」とったご希望にはお応えできません。